根本圭助年賀状コレクションについて

根本圭助氏は、中学生の頃より、いただいた年賀状の中から、思い出に残る人のもの、美しい絵柄のものなどを選んでファイルにコレクションし続けてこられました。
以来、60有余年、そのファイルは膨大なものとなり、この中から根本氏自らが厳選して一冊の本にまとめたものが本書です。
差出人は200名余、掲載された年賀状は600枚を優に超える数になりました。漫画家、イラストレーター、小説家、画家、俳優・・・その名を聞けば多くの人が知っていると答えるほどの著名人が差出人に名を連ねています。その豪華さと共に、年賀状そのものの絵柄の美しさや工夫を凝らした表現の数々などは、差出人のお人柄であり、個性でもあります。ページを繰るたびに、根本氏と差出人との愉快で和やかな交流が目に浮かんできます。
そんな楽しさをちょっぴりおすそ分けしていただける、そんな温かい本です。

根本圭助さんのご紹介

根本圭助さん

年賀状はエールの花束。

最近では年賀状代わりに、メールの交換で済ませてしまう人も多くなったようですが、門松飾り、おせち料理など、昔ながらの正月行事がおろそかになりつつある今、この上年賀状が無くなってしまったら、どんなに寂しいことでしょう。
元旦に届く、年賀状の束は正月の朝をいっそう清々しくしてくれます。
私が年賀状を友人と交換するようになったのは、昭和24年か25年頃のこと。折しも昭和24年といえば、お年玉年賀はがきが発行された初めての年でもあります。
以来、60有余年にわたって、さまざまな人と年賀状を交換し、私の年賀状ファィルは膨大なものとなりました。
毎年正月にこの年賀状ファイルを開くのは、私の密かな楽しみです。開くたび、あの人、この人、さまざまな人との思い出が脳裏を駆け巡ります。こうした年賀状で、私はどれほど助けられ、支えられ、励まされてきたことでしょう。
年賀状は私にとって、多くの人々からのエールの花束のようにも感じられます。
私が年賀状からいただいた多くの幸せを少しでも、皆様におすそ分けすることができれば、と考えて、「年賀状にみる小さな美術館」の発刊を思い立ちました。
私信でもある年賀状を公開することには、内心ためらいもありましたが、多くの方々から賛同をいただき、掲載させていただく方々には、快く了解をいただくことができました。
この本をお読みいただき、今年は年賀状を書いてみようかなと、思われる方がいたとしたら、これほど嬉しいことはありません。

 

プロフィール

根本圭助 (ねもとけいすけ)

1935年東京南千住に生まれる。53年4月より小松崎茂に師事。TVキャラクターを使った絵本やグッズのイラストで幅広く活躍。現在では、往年のさし絵等を常設展示する「昭和ロマン館」館長を務める一方、講演会や執筆にも忙しい日々を送っておられます。
「幼稚園絵本アニメ名作シリーズ」全10巻(講談社)、「異能の画家小松崎茂」(光人社)、「小松崎茂の世界」(学研)、「図説小松崎茂ワールド」(河出書房新社)など著書多数。

(出典:「年賀状にみる小さな美術館」北辰堂出版)